日曜日, 2月 25, 2007

THE WALL STREET JOURNAL じゃーなる; 新しい風は外から

東京鋼鐵を巡る一連の騒動について、昨日のジャー
ナルは一面記事(国際政治・国際金融など総合面で
あるA面)で取り扱っていました。



DEAL BREAKER
A Landmark Vote in Japan:
Shareholders Just Say No

Steel Company Merger
Rejected in Proxy Fight;
An American's Triumph



記事はこちら

ランドマーク級の出来事ですよ!

ジャーナルの記事をお読みいただければ、本件につ
いては最初から最後まで、相当詳しく分かります。

恥ずかしながら筆者も、ジャーナルの記事を読むま
で全くこんなことが日本で起こっているなど知りません
でしたが、いちごアセットマネジメントなる名前は何か
のニュースで見聞きした覚えがありました。


一番驚きだったのは、いちごアセットマネジメントの、
"いちご"が、



一期



だったということです・・しかも日本の会社ながら、こ
の運用会社を率いるのはモルガンスタンレー出身で
日本語も自在に操る42歳のアメリカ人なんですって
ね。

なんとも日本の情緒を解する人のようです。

ちなみに英語では一期という言葉について、

once-in-a-lifetime chance

と解説がありました。

・・・そのままだと思いましたが、そのままということ
は、それに該当する直接の単語が英語にはない、
ということなんですね。

この記事、かなりドラマチックに書かれています、
アメリカ人が読んだら、



日本もついに変わった!!



と思うに違いありません。

ただし、冒頭の記事サブタイトルにありますように、
あくまで、An American's Triumph なのです
よね。

社長さんと、アメリカ流をかけていると思うのですが、
アメリカ流が勝利し、その方向に変わっているので
す。

まぁ、金儲けの世界にアメリカ流も日本流もないの
は事実ですが・・・結局は安く買えたり、高く売れれ
ばいいわけですから。

でも今回の話は、日本の(個人)株主がみすみす利
益機会を喪失するかもしれない可能性のある事象
について声を上げ、会社同士で合意に至っているこ
とをひっくり返したというのは確かに A Landmark
Vote に思えます。

なお、今回の東京鋼鐵と大阪製鐵であらかじめ合意し
た株式交換比率によれば、大阪製鐵はたった6%のプ
レミアム(上乗せ分)しか払わないそうじゃないですか。

まぁ、東京鋼鐵の収益力や将来性が分からない筆者で
すからなんとも言えませんが、アメリカにおける一般的
な企業買収の場合は、20%や30%のプレミアムはザラ
で、下手すると40%なんてのもあります。

あまりに低いプレミアムだと、個人株主は反対投票を
行ったりするわけです。機関投資家などの大株主にな
ると、理屈を記した書簡を企業に送って、最低プレミア
ムは理論上かくかくしかじかと論じるわけです。

ジャーナルの記事内には、日本でさえも10-15%のプ
レミアムが通例である、と書かれています。

いやあ、勉強になります。

それにしても今回の一件、いちごアセットのアメリカ
人社長がいなかったら起こらなかったのでしょうね。

それを考えると、未だに日本の金融資本市場は発展
途上であり、外からの圧力がないと真に洗練されたマ
ーケットにはなり得ないのでしょうか。

日本の個人資産に占める株式関連投資への比率は、
11%だそうです。アメリカは31%。当事者意識の高まり
とともに、よりアメリカナイズされた市場になっていくの
でしょう。まだまだ道は遠い分、チャンスはたくさん
あるということだと思います。

今回の東京鋼鐵をめぐる騒動と、東証株価指数が
15年ぶりの高値更新というのもなんだか『そういうふう
に動いている』と感じます。


今日の激写;
なし