水曜日, 6月 06, 2007

THE WALL STREET JOURNAL じゃーなる; いい運用会社の見分け方

久しぶりに、ジャーナルいじりを再開します。

昨日、日本の最新型炊飯器に関する記事が相当面白
かったのでそれをネタにしようとも思ったのですが、そ
れは記事そのものをお読みいただくとしましょう。

特に女性にオススメです。二つ記事がありまして、タイト
ルを以下に記しておきます。


Making Perfect Rice
The Japanese Way
Can Cost Big Bucks

Secret Involves a Vacuum,
Pressure and a Sprinkling
Of Toshiba's Diamond Dust


と、


Rice Expert Judges
High-End Cookers
In Blind Taste Test


というものです。

まるで小型の宇宙船だ』というコメントとともに、下の写
真もついていました(WSJより)

リンクはここ

(サブスクライバー以外は記事の一部しか読めませんのでご注意を)













さて、今日の本論はそれではなく、どこの運用会社(投
信会社)に自分のお金の運用を任せたらいいか、とい
うきわめてシンプルなテーマで書かれた記事がありまし
たので、それをご紹介します。



When a Fund Manager Leaves,
Investors Fret -- for Good Reason




メッセージは極めてシンプルで、


ファンドマネージャーがころころ変わっている
会社には金を預けるな!


というアイデアです。できるだけ長くひとつの会社に在
籍して特定のファンドを長期にわたり担当しているファ
ンドマネージャーがいる会社のほうが運用成績は良好
のようです。

ちょっと考えれば、長期にわたって運用担当者でいら
れるということは、運用成績が良好なことに他ならない
ので、当たり前といえば当たり前です。

しかし、非常にシンプルな尺度であるので、投資初心
者にとってもわかりやすい判断基準ですね。

ただし、運用業界においては、長期にわたって同じ
人が一つの 会社に在籍し続け、特定ファンドの運用
を担当するというのはなかなか難しいと考えられます。


①処遇の問題

②組織の問題 - ①とも絡みますが


ファンドマネージャーも飯をこれで食っているのですから、
いい成績を残したときは給与やボーナスを多く要求しま
すし、逆に悪い成績だった時は会社は低い給与やボー
ナスを提示します。

しかもこの交渉は毎年行われるわけで、これがうまくか
み合わないと、じゃあ俺別の会社に行く!となるわけで
すね。本当に行けるかはまた別の話ですが。

これを長期にわたって、会社側も本人も納得行くように
こなすというのはそう容易なことではありません。

②の組織の問題というのは、ビジネスポリシーにかかわ
ることです。

ビジネスとして傾いているときにはこの分野は縮小しな
いといけないから人を切るとか、ここには金をかけたく
ないから若手のローコストのファンドマネージャーに変え
るとか、ビジネスの舵取りで人の動きがどったんばった
んします。

もしくは、運用成績が〇〇年悪かったら人を代えるとか、
〇〇% 負けたら担当者クビとか、収益に対するセンシ
ティビティの余裕度合いでも変わってくるでしょう。

記事中にもありますが、アメリカでもっとも尊敬されてい
るとされるある運用会社は、特定のファンドマネージャー
の氏名などは一切公開せず、複数の人間で運用を決定
しているというシステムをとり(本当に実際にそうなのか
はインサイダーのみぞ知る)、運用の継続性を担保してい
ます。

顧客にもこれを告知し、『この制度を採用している我々を
買ってくれ』と訴えています。

これは、ある意味では『人は代わるもんだ』という前提に立
って、スタープレイヤーへの依存を減らすことが目的でし
ょう。言うは易し、行なうは難しですがね、これは・・・

とまあ色んな意味で、長期にわたり運用担当者が不変で
あるというのを達成するのはひじょうに困難なのです。

その意味では、今回のジャーナルの指摘は正しいと言え
ましょう。

しかし、これがある程度正しいとなると、日本の銀行等は
真っ先に顧客から資金を引き揚げられる対象となるので
は・・?

知人に聞いた話では、ビジネスセンスのない昇進や異
動がしょっちゅうだそうです。数年ごとの担当換えはザ
ラとか・・・

どんなに優秀な運用担当者でも、担当者レベルの肩書
きの人が課長になれば特定ファンドの運用そのものには
タッチしなくなるケースが多いようですし、もし課長レベル
の人が運用担当者で続けていても、さすがにその上とな
るとマネジメントクラスになるので現場からは離れますよ
ね。


つまり、ファンドマネージャーがファンドマネージャー
として、い続けられる制度になっていない


アメリカは違います。50歳だろうが30歳だろうが、"役員"
の肩書きであろうが、ファンドマネージャーは永遠にファ
ンドマネージャーとして仕事を続ける人がほとんどです。
場合によっては社長がファンドマネージャーです。

この風土がほとんどない日本の金融機関は、長期にわた
り顧客から資金を任される可能性は極めて低いのでしょう。

真剣に、『組織の独善』ではなく、『職務の本質』を考えた上
での雇用体制を構築することが日本の金融機関には求め
られているのだと思います。

顧客の目は日に日に肥えて来ています。金融機関は変わ
っているのでしょうかね? 危機感を持って欲しいものです。


今日の激写;
なし